ダ・ヴィンチ・コード

直前まで小説を先に読むかどうか迷って、とうとう初志貫徹し、読まずに観てきました。
字幕版で。
以下、ネタバレありということで、感想。


前評判をちらちら見るに、読まずに観ると分かり辛く、読んでみると物足りないという意見が目に付いたんですが、
私は読まずに見て別段分かり辛いことはなかったです。


ただ、これは私が元々宗教戦争だの、十字軍だの、聖杯だのっていう題材が好物の一つで、その手の本はそれなりに読んでいたりするせいかもしれないので、あまり参考にはならないかも。
薔薇の名前をうまうまと読み、つい先日篠田真由美氏の伝奇モノで竜の黙示録シリーズの「紅薔薇伝綺 (ノン・ノベル―竜の黙示録)」を読んだりしていたりする人間です。
紅薔薇〜」については、おかげで(イアン・マッケラン好きも手伝って)サー・リーの気持ちがよくわかったちゃったり。いやいや、宗教論をぶつ気はさらさらないですが。


映画としてはあの内容をまとめましたね、という感じで、可もなく不可もなくといった印象。
正直とりあえず小説は読むぞ!というモチベーションはあがりました。
いわゆる読んでないのに読んだ派に近い感想を持ったわけで、
例えばフィボナッチ関数を暗号で使用するなんて、いやはや解読楽しみなんて思っていたら解読過程すっとばされていたし、
ニュートンの暗号に至っては映像で解読過程を説明しているとはいえ、解読のわくわく感がなぁ…という。
なので小説だったらそのへんを薀蓄してくれているのだろうという期待。


ただ、時間制限サスペンスとしては良い感じに二転三転して楽しめました。(黒幕は読めてましたが。っていうか役者があの人の段階で)


キャスティングは…うーん。
フランス語だからジャン・レノ使ってみましたという感じが…。でもあの役にはもったいないなぁ。
サブの刑事の方がいい味出してました。
トムさんはどうとして、日本版でこういった作品やるなら是非役所さんで見たいなと思ったり。
(途中から勝手に役所さんに変換して観賞)
やはりイアン・マッケランに釘付けでしたが、存外シラス役が好演というか怪演でお気に入り。


テーマとしては前述の通り好きな題材なのでそれだけで楽しい。
しかしせっかくダ・ヴィンチでイコノロジーをぶつのに、後半はほとんど使われなかったのが残念。
もっとイコノロジー講義が聞きたかったなぁ。
(それじゃ一般受けしないか)


キリストが神か人の子か、という点については論議自体に興味はあっても結論にはさほど興味がない、というところは教授に同じ。
常に歴史はマイノリティと敗者を隠蔽、変節させると感じるがゆえ、支配者によって綴られた歴史の裏側と意図を暴き、白日の下にさらすというのは、ある意味犯罪者の罪を暴く探偵のような行為に似て、ミステリ好きにはたまらないわけで。
そこが歴史ミステリの醍醐味というならば、この作品は十分だと思います。


ちなみに先日こんな質問に回答させてもらったんですが、
歴史を題材に小説を書く動機の一つに、謎めいた史実の解明も挙げられるな、と思ったり。
つっこみ所が多い文献や諸説が多い時代は題材にしやすいですもんね。読みたいし。


といった感じで独断評価は
★★★☆☆